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eine Erinnerung aus fernen Tagen ~遠き日の記憶~
悲劇の少女―第2幕― 第12章
(40日目朝)
「東からキャラバンがやって参りますので、少々お待ちください。」
「はい。」
シルトの集落の人たちは何にもなかったみたいにしていました。
あれから、ティサートさんもフィサートさんも見えませんでしたし、
砂漠を行くキャラバンもまた動き出したそうです。
「・・・ねぇ、私達があの遺跡に行った理由。マーシャは、なんでだと思う?」
「そ、それは・・・シーナさんが行かなきゃって言ったから・・・。」
「でも、私・・・結局何もしてないわ。マーシャと・・・デュークリューナが
話をしていただけ・・・。マーシャは、うちの隊長・・・ガーディアを
探して旅してるのよね・・・。」
「はい。お父様と村の人達を襲った、・・・あの人達を、私は許せません。」
「それに、私は覚えてるわ・・・アーシェルが言ったこと。あなたのお母さんのこと。
不思議な力をあなたが受け継いでいるって・・・。それが、・・・幻の雫の結晶とか、
受け止めなければならない運命っていうのと、関係があるの?」
「・・・わかりません、・・・でも、いつまでも分からないなんて言ってられません。
私は、私が今出来ることをする。―――今までずっと、私が知りたいことを
誰も教えてくれないって私は思っていました。
でも、シーナさんは私に教えてくれました。そんなことしても仕方がないって。
きっと、シーナさんがああ言ってくれるということが分かってて、
あの場所に私達を導いてくださったんですね・・・。」
「そうかな・・・。私は、・・・私の思ってることを言っただけ。
正しいことなんて言ってないわ。・・でも、マーシャがそう言ってくれるなら、いっか。」
私達はそれから、キャラバンと一緒に、広いソウル砂漠と呼ばれるところに
入っていったわ。
「これから、モーグ盆地の集落ってとこに私達は入るわ。」
「モーグ盆地・・・?」
「そう。ここで一度、砂漠は終わるわ。」
「本当ですか?!」
「何そんなに喜んでるの?これからね、大山脈を越えなくちゃならないのよ。」
「の、登るのですか?!」
「そう。トンネルが通ってるの。私達は、それを歩いて越えなくちゃならない。」
「は、はい・・・。」
このだだっぴろいソウル砂漠を東から西へとわたっていくと、
昼過ぎには、西の方に大きな山脈が見えるようになるわ。
山頂には毎日のように白い雲がかかって、雪が降ってるって聞いてる。
「た、・・・高い・・・。」
「でも、これさえ越えればいよいよ、ディメナ・・・アーシェルのいるところに
たどり着けるの。だから、越えないわけにはいかないわ。」
「はい。」
だんだん、モーグ盆地の集落が見えてきた頃には昼過ぎになってたわ。
「・・・あれ?どうしたの、なんで止まっちゃったの?」
集落までは少しまだだいぶあったけど、急にキャラバンが止まったみたいだった。
「何かあったのでしょうか?」
「・・・もう、あと少しなんだから、早くしてよね。」
しばらく待ってたけど、だんだんと周りの連中も騒ぎ始めてた。
「もういいわ!!私、下りるわよ!!」
「え、お、下りるのですか?」
「すぐそこじゃない!!待ってられないわ!!」
その時、ゆっくりとキャラバンが動き始めたわ。
「な、なによ・・・また動きだしたわ・・。」
結局、キャラバンは集落の中には入らずに、外で止まったわ。
「もういいわ!!文句言ってやる!!」
「シーナさん!!!」
「皆様・・・、申し訳ございません・・・。」
モーグ盆地の集落には、たくさんの人がいました。
どの人を見ても、怒っている顔をしていました・・・。
「・・・あんたら、今、キャラバンで来たんだろ?
そりゃあ、運が悪かったなぁ・・。もう、しばらくはここから動かん方がいい。
ヘタに動けば、何されるかわかんないからなぁ・・・。」
「冗談じゃないわよ!!私は、トンネルに入って、向こうに抜けなくちゃなんないの!」
「あまり大きな声を出すな。よした方がいい・・。」
「・・・また聞くけど、ホントなの?」
「ああ。この集落の出口は奴らが固めてやがる。誰もここから出す気はねぇらしい。
それで奴―――ザヌレコフは、このトンネルの一番上の、
修行施設に居座ってる。」
その人はそう言うと、どこかへ行ってしまわれました。
「ザヌレコフ・・・大盗賊ですって・・・?」
「知っているのですか?ザヌレコフさんを・・・。」
「知ってるも何も・・・あいつは、そこらのモンスターなんかよりもタチ悪い奴よ。
モンスターズハンターの中でも有名な奴なんだから。
あいつには、相当の懸賞金がかかってるし・・って、なんで知ってるのよ、マーシャ?」
「え、・・わ、私・・、そ、その・・。」
「ちょっと待って。いったん宿に入りましょ。」
私は、誰も部屋の周りにいないことを確認してドアを閉めた。
「・・・もう、こんなボロ部屋しか残ってなかったわ、まったく。」
「シーナさん、私・・・。」
「ザヌレコフ・・・なんでそんな奴を知ってるの?」
「私、・・・物を盗まれそうになりました、・・・ザヌレコフさんに。」
「な、なんですって?!いったいいつよ!!それに、・・・いったいマーシャの何を?!」
私は、予想以上の答えにめちゃくちゃ驚いたわ。
「こ・・・これです。」
マーシャは、大事そうに包み込んでた何かを取り出した。
「・・・宝石?・・・とてもきれいな石ね。でも、それを・・・?」
「これが・・・、幻の雫の結晶なんです。」
「ちょ、ちょっと待って!!!」
私は、すぐにマーシャにそれを出すのをやめさせた。
「それ・・・大事なものなんでしょ?なら、出しちゃあダメよ。
それに、・・・なんで、そんなものを・・・ザヌレコフなんて奴が・・?」
「わかりません。」
「・・・まぁいいわ。いい、あんまり大きな声出さないでよ。」
「は、はい・・・。」
「キャラバンは、ザヌレコフの手下に止められたのよ。つまり、
ここから誰も外に出さないようにしてんのよ。
でも、私達はトンネルに入って、向こうにいかなくちゃならない。」
「はい・・・で、でもどうするのですか?今のままだと何も・・・。」
「・・・チャンスじゃない。」
(40日目夕方)
「ええっ?!ひょっとして・・・まさか?!」
「捕まえるのよ。ザヌレコフなんて大盗賊突き出したら、しばらく遊んで暮らせるわ。」
「で、でも・・・。」
「そうね・・・今のままじゃ、ちょっと不利かもね。」
「不利も何も、向こうは何人いると思っているのですか?」
「手下だけで数百って聞いてるわ。」
私は、あまりの数に声が出せなくなってしまいました。
「そんなことはいいのよ。・・・それより、アイツらの目的が分かんないのよ。」
「目的・・・ですか?」
「もともと、ザヌレコフ盗賊団って言ったら、妙なことばっかりする連中よ。
でも、今回は全然、わかんないのよ。
だいたい、私達の足止めなんかする必要なんてないのよ。なんでこんなことするわけ?」
「そ、それは・・・助けを呼ばれないように・・・。」
「考えてもみて。確かにここから出られないけど、何か私達、物でも金でも取られた?
そりゃあ、逃げようとかすれば、乱闘騒ぎにはなるかもしんないわよ。
今んところは、奴等はどう動こうともしてないのよ。
こんな大掛かりなことするなんて、・・・まるで、捕まえてくださいって
言ってるみたいなもんじゃない。奴等は何かやろうとしてんのよ。
でも、まだ始めてない・・・、始められないのよ・・・。」
「・・・何をしようとしているのでしょうか?」
「私が知るわけないじゃない。とにかく、まだ始められないんだったら、
これ以上のチャンスはないわ。今なら、潰せる・・・。
いい、さっきの話じゃ、マーシャ・・・顔知られてるわね?」
「・・・はい。」
とにかく、私達はまずショップに行った。
「マーシャは、あんまり派手に行動しないで。」
「そ、それなら、宿屋にいた方が・・・。」
「そうも行かないわ・・・、マーシャ。あなた・・・そのロッド、買い換えないの?」
「な、何を言ってるのですか?!これはお母様のロッドなんです!!」
「でも、攻撃力が低くちゃ、ザヌレコフの奴は倒せないかもしれないわ・・。」
「そんなことありません!!」
「・・・何よ、なんでそんな自信持ってるの?まるで、倒したことあるみたいじゃない。」
マーシャは突然、口を閉じて黙ったわ。
「じょ、冗談よ・・。とにかく、そのライトロッドは持っておいて、
新しい何か武器を買うの。そうすればいいわね。」
「は、はい・・・。」
私は、マーシャにロングロッドを取って渡した。
「こんなので殴られたら、いくらザヌレコフでも、生きてらんないわね。」
「こ、こんな重いロッドで・・・、大丈夫なんですか?」
「できれば生きてるまま捕まえるほうがいいけど、そん時はそん時よ。
・・・そういえば、・・・私だけこんなボロボロのローブ着なくたっていいわよね。
マーシャだけそんなかわいい格好してさ。・・・だから、買ってもいい?」
「い、いいと思います。」
「やった!それじゃ、買って買ってかいまくるわよ!!!」
「・・・。」
買い物をすませてから、私達はゆっくりと集落の中を歩いていました。
「・・・ぜ、全部、買い換えてしまったのですか?」
「そうよ。このローブは6割引だし、前のローブは4割増しで売ってやったわ。
あああ、これで、マーシャのロッドさえ売れれば・・・。」
「シーナさん!!」
「それじゃ、そろそろ戻ろうかしら・・。」
「はい。」
私たちは宿で夜を待つことにしました。
「いい、手下は集落の入り口と・・・トンネルの入り口にもいたわ。
そうじゃないかなとは思ってたんだけどね。」
「や、やっぱり、無理なのでは・・・。」
「無理矢理行っても問題はないと思うけど、・・念のため、やっぱり夜に・・。」
「夜にって・・・や、やっぱり入るのですか?」
だんだん、辺りが暗くなってくると、集落の宿屋にもたくさんの旅人が来ました。
部屋が足りなくて、外で寝ている人達もいました。
宿屋の外は、昼間とはうって変わって、とても静かだったわ。
「誰も・・・いないわね。」
「行くのですか?」
「行くしか・・・ないわ。」
トンネルの入り口まで静かに歩いてきた。
「チャンスよ。奴ら、眠りこけてる・・・。」
「気付かれないでしょうか?」
「知らないわよ、そんなこと。気付いたら、口さえ封じればいいんだから。」
ここまでうまくいくとは正直思ってなかったわ。誰一人として私達が、
中に侵入したことに気付かなかったわ。正直、逆に不安になってた。
「誰にも気付かれませんでしたね。」
「ちょっとくらいは乱戦、期待してたのに・・・。ま、いいわ。行くわよ。」
トンネルは、壁も天井も、むき出しじゃなくて、きちんと塗り固められてた。
「・・・マーシャ、せっかく夜に来たの。奴らのところに入ったら、
一気に片付けるわ。・・・あんたは、顔が知られてるんだから・・・。」
「もし、私だとわかったら・・・。」
「当然、また狙ってくるわね。」
灯りがともっていて、それにモンスターも出てこなかった。
「静かね・・・。」
奥から大声を上げて、何人かが走ってきたのはそんな時だったわ。
「・・・まだか?」
「集結までは、今しばらくかかりやす・・・。」
「ここまでやってくる奴の足止めんのもそろそろ限界だ・・・。
ディメナの連中が帰ってくると面倒だしな。」
「・・・しかし、話はマジなんでございやすか・・?」
「まぁな。最後の1つの場所も分かった。
どれもこれも、ちっと手間に時間がかかるもんばかりだがなぁ・・・。」
「すると、いよいよ、集結して総力あげて行くと・・?」
「ああ・・・、わざわざテメェらにここまで集まらせたのも、
もう一回、はっきりとさせとこうと思ってやったことだからよ・・。」
「ザヌレコフ様っ、2人、逃げやした!!」
「・・・何やってんだ、テメェら。」
「まぁ、モーグの方だろ?・・・なら、とっとと追いかけろ。」
「な、なんで分かったんでございやすか・・?」
「ディメナに行く奴ぁバカだ。・・・殺されるだけなんだからよ・・・。」
(40日目夜)
「何よ?誰が来るってんの?!」
2人の旅人のような人達が奥から走ってきました。
「ちょ、ちょっと?ど、どうしたの!!」
「・・・・ここの上、・・・と、とんでもねぇ野郎が・・・・。」
「あんたたち?!ザヌレコフんとこから逃げてきたっての?」
「そ、そうだ!!逃げないと・・・、あんたら!!!」
「先に行ってな。あとから追いかけてくる連中、ぶっ潰したげるから。」
「来ます!!」
その人達が走って逃げたすぐ後に、奥から何人かが下りてきました!!
「待ちやがれぇ!!テメェ!!」
「逃げんじゃねぇぞ、コラぁ!!」
「けっ、盗賊のカスか。」
「な、なんだ・・・テメェらは?」
「私達じゃないわよ。さっきの奴ら、もう逃げてったわ。」
「答えねぇのかよ、・・・テメェはなんだっつってんだよ・・・。」
「いいの?追いかけなくて?」
「ナメてんのか、テメェ!!大人しく、集落で黙ってりゃいいのによ。」
「まぁ、いい。こんな女ども、さっさと捕まえてろ。さっきの奴んとこだ。」
下りてきた人の中から2人がシーナさんの横を通ろうとしました。
「ぐあぁぁっっ!」
「バカ?私がアンタなんか通すわけないじゃない。」
シーナさんは、ナイフで一気に攻撃を始めました!!
盗賊も、すぐにそれに応戦しますが、シーナさんのスピードについてこれません!!
「ひっこんでな、雑魚は!!」
「おい!!この女、ヤバい!!手ぇ貸してくれ!!」
「後で後悔してろ・・・俺らに逆らっちまったことをな!!」
「後悔?まぁ、時間のムダって言えば、ムダだけどね。・・・バーニングスラッシュ!」
私は、通ろうとする奴をかたっぱしにぶった斬っていったわ。
「何よ、3人がかりでも、相手になんないじゃない。」
「死ね。」
私は、横から飛んできたナイフをさっとよけた。
「危ないわねぇ!!よけそこなったらどうするのよ?!」
「んな、バカなっ?!」
もう一度、斬り込もうとした時、私の横を通り過ぎるナイフを見たわ!!
「え?・・・マーシャ!!」
「!!!」
辺りが一瞬、まぶしくて何もみえなくなったわ。
「ちょっと、いくらなんでも・・・いきなりフラッシュリングはやめてよ・・。」
「ご、ごめんなさい、・・・せっかくクリートが守ってくれていたのに・・・。」
「こ、こいつら、・・・な、なんなんだよ?!」
「え?あんた達、・・・まさか、知らないっての?」
「・・・何者なんだ、テメェらは・・・。」
「モンスターズハンター、シーナよ。そう、知らないってんなら。」
クリートの冷たい風を受けて、みんな気絶してしまいました。
「何よ、マーシャのこと知ってる連中だと思ってたのに。」
「奥に階段があります。」
「そろそろ、到着ってとこかしらね。」
修行施設というところは、このトンネルの一番上にありました。
「・・・結構な人数がいるわね。誰にも会わなきゃいいんだけど。」
「ここは・・・一体何ですか?」
「修行施設ってのはね、私みたいにナイフ使ったり、剣だの槍だのって
使う連中が集まって、修行する場所よ。こっちに来るときは通り過ぎちゃったから、
私もここに来るのは初めてよ・・・。」
その時、私には誰かが呼ぶような声が聞こえました。
「・・・誰ですか?」
「え?」
「こちらです。」
「何?・・・あんたたち、・・・ここの人間?」
「とにかく、きてください・・・。」
「要するに、とにかく、さっき行った連中はあんたらの連れなわけね?」
「だ、大丈夫だったんですか?」
「追いかけてる連中は、さっきかたっぱしにぶっ潰しておいたから、大丈夫でしょ?」
「そうか・・・。」
「ここの人間のくせに、ずいぶん弱気ね、あんた。」
「ザヌレコフが相手だぞ?!・・・あいつは、・・・知ってるだろ?」
「何を?」
「俺たちだって、戦おうとした。だがよ、・・・奴は・・・。」
「誰かが来ます!!」
私達は、そいつが通り過ぎるのを物陰でやりすごした。
「まぁ、いいわ。たまたまあんたたちは逃げれたわけね。」
「はい。なんとか、他の連中のところにと思っていたのですが・・・。」
「それにしたって、ここ修行施設なら・・・それなりの奴がいるでしょ?」
「それが、・・・先生方、師匠の方々は皆、ディメナへ出ているんです。」
「どういうことよ?」
「ディメナ王の元で、会議を・・・」
「王・・・ですって・・・?」
「まさかこんな時に、盗賊団が集結するなんて・・・。」
「もともと、ザヌレコフ盗賊団なんて、バラバラだって聞いてたのに・・・。」
「ちょっと・・・。まさか、全員が集結してるっての?」
私の知ってる限りじゃあ、ありえないことだったわ。もちろん計算外だった。
「そんな、・・・シーナさん!!」
「騒がないで、マーシャ。・・・これだけの騒ぎ起こして、
・・・・会議なんかやってる場合じゃないでしょ?早く、助けに・・・。」
気付いた時には遅かったわ・・・。
「シーナさん!!」
「・・・ちょっと、長話しすぎちゃったわね。」
「お前らが心待ちにしてる、ここの強い方々は誰も来ないぜ・・・。」
「そんな、バカな!!」
「自分たちの場所よりも、ディメナの方で手がいっぱいだろうからなぁ。」
「な、何をするんですか?!」
マーシャが盗賊に押さえられてた。そっちに気をとられた瞬間、私も2人に捕まった!
「ちょ、ちょっと!!離しなさいよ!!」
「まぁ、暴れるんじゃねぇよ。連中、さんざん待たせやがったからなぁ・・。」
「連中・・・?」
「まぁ、ここに急いで帰って援護しようって連中の足止めくらいしてくれねぇとなぁ。」
「やっと集結したらしいからよ。報告に行くか・・・。ついて来い・・・。」
(40日目深夜)
そいつらに連れられて、私達は中心にあるコロシアムにつれてこられた。
抵抗しようとしたけど、こいつらは、ただの盗賊とは思えなかったわ・・・。
「さぁ、入れ・・・。」
中にいる連中の人数に、正直圧倒された。
コロシアムを見物してる奴等の数なんて、とても数えれそうにもなかった。
コロシアムには、10数人の盗賊がいて、・・・その真ん中に奴はいたわ。
「ザヌレコフ様!アサラ様の部隊がディメナに到着しやした!!」
私は、そいつが話しかけた、その相手を睨み付けてやった。
「長いこと離れていたら、この俺に対する礼儀を忘れちまったか、奴は・・・?」
「あ、・・・あんたが、ザヌレコフの野郎ね!!」
私は、そう叫んだあと、すぐに押さえつけられたわ・・・。
「・・・なんだ、そいつらは?」
「さっき逃げ出しやがった野郎の連れみてぇです。」
「その割には、威勢のいい奴が混じってるみてぇだな。」
「私は、あんたをぶっ倒しに来たのよ!!覚悟しとくことね!!」
「黙れっ!!テメェ、ぶち殺されてぇのかぁ?」
「うっさいわねぇ!!いいから、放すのよ!!」
「暴れるのをやめないのか?」
「あんたらが邪魔すんじゃないのよ!!」
「おい、そいつを押さえてろ。」
横から歩いてきて話しかけてきたその盗賊は、急に口調を変えて話しだした・・・。
「・・・ザヌレコフ様。これほどの人数の手下を、正確に把握してないようね。」
その時、その声の人間が盗賊じゃないことに気付いたわ。
そいつは、一瞬で、周りで押さえてた4人に攻撃を加えてた!!
「て、テメェ!!何してやがる?!」
「あ、あんた・・・な、何を・・?」
一瞬で、周りを数人の武器を構えている盗賊で取り囲まれてたわ。
その女は、鋭い視線でザヌレコフをにらみながら、アーチェリーを構えていたわ。
「誰もいなくなっていると思っていたようね。ずっと、私はそばにいたわよ。」
その女も盗賊達も、お互いの間合いを守り続けていた。
「ここの、人間か・・・?」
「そういうことになるわね。」
「・・・仕方がないな。」
ザヌレコフは、コロシアムを見てた盗賊全員に叫び始めた!!
「俺についてくる意思のある野郎共!!聞きやがれぇ!!!」
「俺について来る意思のある野郎共!!今日テメェらを集めたのは、
いよいよ最後の探しもんを見つけたっつうことを言うためよぉ!!」
さっきの女が逃がした2人が、俺に向かって武器を構えるのを見た。
俺は、そのうちの1人の顔を、今はっきりと思い出してた。
俺はそいつを睨み付けた。・・・だが、そいつからあのおぞましい寒気は感じなかった。
「―――まさか・・・お、お前。」
「ザヌレコフさん。」
「ザ、ザヌレコフ様・・?」
「どうしたってのよ?あんた!!ビビってんじゃないの?」
俺は、勝ち誇ったように大声で笑った。
「な、・・・何、何よ?!」
「まさか、テメェの方から来てくれるとはなぁ・・・。」
「・・・どういうことよ?!」
俺は、そのままの調子で続けてやった。
「俺について来る奴ぁ、先に行けぃ!!行動を開始しやがれ!!
アサラの奴のところだ!!俺について来る奴ぁ、
アサラのとこに行きやがれぇ!!」
「行動・・・?あんたたち、何を始めるっていうの?」
「行けぇ!!テメェら!!残る、最後の一つ・・・、最後の一つは・・・」
「・・・。」
「この女から、俺が奪う!!テメェらは、先に行けぇ!!!
アサラのところだっ!!!行動を開始しやがれぇっ!!!」
「マーシャが・・・?!」
いっせいに盗賊の人達がざわつきはじめました。
すべての人の視線が、私の方だけをじっと見ていました。
そして、すぐにその人達は行動を開始しました。
「お前は、そこから動けネェよ。」
「邪魔をするなら、力づくでもあなた達を止めるわ!!」
「ここの人間なら、俺らくらい片付けられるだろうなあ。
さぁ、どっちが早いかな・・・?」
その女の人と盗賊の人達がいっせいに戦闘を開始しました!!
「残るは、アンタたちね・・・。」
ザヌレコフさんと、周りには6人の盗賊の人達がいました。
「女2人・・・最初から、この俺を狙う気で来たか。」
「他の奴なんか、眼中にもないわね。」
「お前・・・、今も、持ってるな?」
「これは、渡せません。」
「女2人じゃ、俺は倒せねぇなぁ・・・。かかってくる前に一つ、
もし、お前が持ってる、そいつを素直にこっちによこせば、
命くれぇは奪わずにしておいてやらぁ・・・。どうだ?」
「マーシャ、こんな盗賊の言う事なんか、適当に聞き流すのよ。」
「はい・・・。」
「この俺から、幻の雫の結晶を奪いやがっただけでも、褒めてやらぁ・・・。
だが、それも今日までだ。素直に渡せ・・・。」
「これは、絶対に守らなければならないもの。あなたのような人に
渡すことは、出来ません。絶対に!!」
「そういうことよ!!アンタなんかに、指一本触れさせないわ!!」
「この俺の条件がのめないか・・・。
言っておくが、この前の時の俺と同じに思うな、女!!
もう、容赦はしねぇ。命をかけて守るって気なら、
―――その命もまとめて、消し去ってくれらぁ・・・。」
「マーシャ、・・・やるわよ。覚悟して!!」
「はい!!」
「テメェらは、手ぇ出すな。・・・後ろに下がってろ。
―――おい・・・。俺が勝てば、当然、その雫の結晶は頂く。それでいいな?」
「ふん。盗賊なんかから、何ももらおうなんて思っちゃあいないわよ!!
何度も言わせないで。アンタなんかじゃあ、奪えないわ!!」
シーナさんは、ゆっくりと低く構えました!!
「私が欲しいのはね・・・」
ザヌレコフさんが身構え、一気にシーナさんが飛び出しました!!!
「アンタの懸賞金、報酬!!・・・ただそんだけなのよっ!!!」
シーナさんの2本のナイフがすさまじい勢いで空を裂き、
その刃先は、ザヌレコフさんの腹を深く突き通していました・・・。
(40日目深夜)
「
悪
(
わる
)
いけど、アンタにはメチャクチャな
懸賞金
(
けんしょうきん
)
がかかってるから!!
我慢
(
がまん
)
してね!!」
腹
(
はら
)
に
突
(
つ
)
き
刺
(
さ
)
したナイフを、
一気
(
いっき
)
に
振
(
ふ
)
り
上
(
あ
)
げてやったわ!!
・・・
次
(
つぎ
)
の
瞬間
(
しゅんかん
)
、
目
(
め
)
の
前
(
まえ
)
が
真
(
ま
)
っ
白
(
しろ
)
になった・・・。
「だったら、どうしたってんだ?」
確
(
たし
)
かに、ザヌレコフからは
大量
(
たいりょう
)
の
血
(
ち
)
が
出
(
で
)
てた。
でも、ザヌレコフの
一太刀
(
ひとたち
)
で、
思
(
おも
)
いっきり
私
(
わたし
)
は
吹
(
ふ
)
き
飛
(
と
)
ばされていた・・・。
「・・・バカな・・。」
「この
俺
(
おれ
)
と、
勝負
(
しょうぶ
)
する
気
(
き
)
がまだあんのか?」
ザヌレコフは、さらに
私
(
わたし
)
に
斬
(
き
)
りつけてきたわ!!
まともに
攻撃
(
こうげき
)
をうけて、
体中
(
からだじゅう
)
が
激
(
はげ
)
しく
痛
(
いた
)
み
出
(
だ
)
したわ!!
「シーナさん!!シールドチャージ!!」
「その
様子
(
ようす
)
じゃあ、
俺
(
おれ
)
の
相手
(
あいて
)
にゃ、
程
(
ほど
)
遠
(
とお
)
いみてぇだな。」
ザヌレコフは、マーシャを
思
(
おも
)
いっきり
斬
(
き
)
り
裂
(
さ
)
いたわ!!!
マーシャの
防御
(
ぼうぎょ
)
は
全
(
まった
)
く
間
(
ま
)
に
合
(
あ
)
ってなかった・・・。
「あん
時は
(
ときゃあ
)
、なめた
真似
(
まね
)
しやがってよ・・・、その
宝石
(
ほうせき
)
は、
テメェが
持
(
も
)
っていいようなもんじゃ・・・ネェんだよ。」
「
覚悟
(
かくご
)
しなさい!!クロスブレイカー!!!」
「
関係
(
かんけい
)
ネェ
奴
(
やつ
)
ぁ、
引
(
ひ
)
っ
込
(
こ
)
んでろ!!シャドーブレード・・・。」
もう、
私
(
わたし
)
にはそのソードの
軌跡
(
きせき
)
すら
見
(
み
)
ることができなかった・・・。
ザヌレコフさんは、ソードを
構
(
かま
)
えながら、
私
(
わたし
)
に
話
(
はな
)
しかけてきました。
・・・
今
(
いま
)
までのザヌレコフさんの
口調
(
くちょう
)
とは
少
(
すこ
)
し
違
(
ちが
)
う、どことなく
願
(
ねが
)
うような
口調
(
くちょう
)
でした。
「それは、・・・この
俺
(
おれ
)
が・・・、
持
(
も
)
っておかなきゃならねぇ・・・・。」
「・・・そ、・・・それ・・・・、は・・
出来
(
でき
)
ません・・・・・・。」
意識
(
いしき
)
が
遠
(
とお
)
くなりそうな
中
(
なか
)
で、
雫
(
しずく
)
の
結晶
(
けっしょう
)
だけはとにかく
守
(
まも
)
り
続
(
つづ
)
けていました。
「まだわからネェか?!お
前
(
まえ
)
のような・・、タダの
女
(
おんな
)
が
飾
(
かざ
)
りで、
持
(
も
)
ってたところで、
仕方
(
しかた
)
がネェってことが
理解
(
りかい
)
できねぇか?
殺
(
ころ
)
されねぇと
理解
(
りかい
)
できネェか?!」
「・・・これは・・、
飾
(
かざ
)
りなんかじゃない!!」
「ンだと?」
ザヌレコフさんの
声
(
こえ
)
がだんだんと、
低
(
ひく
)
く
恐
(
おそ
)
ろしい
声
(
こえ
)
に
変
(
か
)
わっていくのがわかりました。
体中
(
からだじゅう
)
が
震
(
ふる
)
えるような
感
(
かん
)
じの
中
(
なか
)
で、それでも、
必死
(
ひっし
)
に
渡
(
わた
)
したりしないと
思
(
おも
)
い
続
(
つづ
)
けました。
「・・・これには・・、
神
(
かみ
)
の
力
(
ちから
)
が・・・、やどっている・・・、
あ、あなたなんかに、・・・
渡
(
わた
)
せない!!!」
「・・・だったらどうした。それがおまえのもつ
理由
(
わけ
)
と
関係
(
かんけい
)
あんのか?え?」
私
(
わたし
)
は、
何
(
なに
)
も
答
(
こた
)
えられなくなってしまいました。
だんだんと、
体中
(
からだじゅう
)
が
恐怖
(
きょうふ
)
で
冷
(
つめ
)
たくなっていくような
気
(
き
)
がしていました。
「
何
(
なに
)
も
言
(
い
)
えないか?・・・もう、
終
(
お
)
わりだ。
渡
(
わた
)
さないなら、
殺
(
ころ
)
す。」
「アンタは?!」
その
時
(
とき
)
、シーナさんが、ザヌレコフさんに
叫
(
さけ
)
びました!!
「アンタが
持
(
も
)
つ
理由
(
わけ
)
・・・
何
(
なん
)
なのよ?
言
(
い
)
ってみなさいよ!!!」
「・・・これから
死
(
し
)
ぬような
連中
(
れんちゅう
)
に、
言
(
い
)
うことなどネェな・・・。」
「―――クリート、ありがと。マーシャのところへ
行
(
い
)
ってあげて。」
その
女
(
おんな
)
は
俺
(
おれ
)
をにらみつけてきやがった。
「アンタだって、言えないんじゃない。いい気になってんじゃないわよ!!
アンタが
欲
(
ほ
)
しい
理由
(
りゆう
)
?
結局
(
けっきょく
)
は、
盗賊
(
とうぞく
)
だからでしょ?
何
(
なに
)
よ?マーシャの
持
(
も
)
ってるあの
宝石
(
ほうせき
)
に、
目
(
め
)
がくらんじゃったっての?」
「・・・それ
以上
(
いじょう
)
、
口
(
くち
)
出
(
だ
)
しすんじゃネェ・・・。」
「
言
(
い
)
わないなら、
何度
(
なんど
)
だって
言
(
い
)
ったげるわよ!!アンタは
宝石
(
おたから
)
に
目
(
め
)
がくらんで、
人殺
(
ひとごろ
)
ししてまで
奪
(
うば
)
おうとする、
汚
(
きたな
)
い
盗賊
(
とうぞく
)
よ!!!」
俺
(
おれ
)
は、
完全
(
かんぜん
)
にその
言葉
(
ことば
)
にキレた・・。
「それ
以上
(
いじょう
)
・・・
言
(
い
)
うんじゃネェ!!!」
俺
(
おれ
)
は、ソードに
全力
(
ぜんりょく
)
を
込
(
こ
)
めてシャドーブレードを
放
(
はな
)
った!!
「・・
悪
(
わる
)
いけど、
見切
(
みき
)
ったわ。」
「!!!」
背中
(
せなか
)
に
激痛
(
げきつう
)
が
走
(
はし
)
った・・・。その
次
(
つぎ
)
の
瞬間
(
しゅんかん
)
、
俺
(
おれ
)
はその
女
(
おんな
)
に
思
(
おも
)
いっきり、
ソードを
振
(
ふ
)
り
回
(
まわ
)
して、
床
(
ゆか
)
にたたきつけてやった・・・。
「よくも・・・、シーナさんを・・・。」
そん
時
(
とき
)
だった・・・。こっちをにらみつけてくる
女
(
おんな
)
から、あの
忌
(
い
)
まわしい
寒気
(
さむけ
)
が
襲
(
おそ
)
い
掛
(
か
)
かってきやがった・・・。あん
時
(
とき
)
とは
比
(
くら
)
べようのないほどの、
猛烈
(
もうれつ
)
な
寒気
(
さむけ
)
が、
俺
(
おれ
)
を
完全
(
かんぜん
)
に
縛
(
しば
)
り
付
(
つ
)
けてきやがった!!
「・・・
決
(
き
)
めましょう!!どちらが、
本当
(
ほんとう
)
に
持
(
も
)
つべきなのかを。」
私
(
わたし
)
はロングロッドを
強
(
つよ
)
く
握
(
にぎ
)
り
締
(
し
)
めました!!
「
何度
(
なんど
)
も
言
(
い
)
わすんじゃネェ。・・・テメェに、
持
(
も
)
つ
資格
(
しかく
)
なんかネェんだよ!!」
ザヌレコフさんは、
猛烈
(
もうれつ
)
な
勢
(
いきお
)
いで
私
(
わたし
)
の
方
(
ほう
)
に
走
(
はし
)
ってきました!!
「クリート!!
冷
(
つめ
)
たい
風
(
かぜ
)
よ!!」
クリートの
冷
(
つめ
)
たい
風
(
かぜ
)
が、ザヌレコフさんの
勢
(
いきお
)
いを
完全
(
かんぜん
)
に
消
(
け
)
し
去
(
さ
)
りました。
「この
程度
(
ていど
)
でくたばるかぁっ!!!」
その
風
(
かぜ
)
を
一気
(
いっき
)
に
斬
(
き
)
り
裂
(
さ
)
いて、さらにこちらに
向
(
む
)
かってきました!!
「
神
(
かみ
)
よ!
我
(
わ
)
が
願
(
ねが
)
いを
聞
(
き
)
き
届
(
とど
)
けよ!」
ロングロッドをゆっくりと
光
(
ひかり
)
が
包
(
つつ
)
み
込
(
こ
)
み
始
(
はじ
)
めました。
「ムダだ!!テメェに、
魔法
(
まほう
)
なんざ
使
(
つか
)
わせネェ!!!」
「バーニング・・・スラッシュッ!!!」
「ぐはぁぁぁっ・・・」
シーナさんが、
全身
(
ぜんしん
)
ボロボロになりながら、ザヌレコフさんを
止
(
と
)
めてくださいました!
「さぁ・・・
早
(
はや
)
く・・・。」
「シーナさん・・、はい!!
邪悪
(
じゃあく
)
なる
者
(
もの
)
を、
裁
(
さば
)
く
力
(
ちから
)
を
我
(
われ
)
に
与
(
あた
)
えよ!!
そして
聖
(
せい
)
なる
光
(
ひかり
)
の
輪
(
わ
)
となりて、
包
(
つつ
)
み
込
(
こ
)
め!!!」
ロングロッドを
何重
(
なんじゅう
)
にも
重
(
かさ
)
なった
光
(
ひかり
)
の
輪
(
わ
)
が
包
(
つつみ
)
み
込
(
こ
)
みました。
やがて、
光
(
ひかり
)
は
輝
(
かがや
)
きを
増
(
ま
)
して、
私
(
わたし
)
の
周
(
まわ
)
りまでもが
光
(
ひか
)
り
輝
(
かがや
)
き
始
(
はじ
)
めました。
「・・・
来
(
こ
)
い!!」
「
行
(
い
)
きます!!!フラッシュ・・・リング!!!」
あまりのまぶしさで、
私
(
わたし
)
には
何
(
なに
)
が
起
(
お
)
こったのか、
全
(
まった
)
く
分
(
わ
)
かりませんでした。
私
(
わたし
)
は、
気絶
(
きぜつ
)
しそうになりながら、
一瞬
(
いっしゅん
)
でザヌレコフの
背後
(
はいご
)
に
回
(
まわ
)
った。
「・・・アンタ・・・
背後
(
うしろ
)
が、スキだらけ・・・よ・・・・。」
「けっ、
早
(
はや
)
く
離
(
はな
)
れネェと、・・・あれ
食
(
く
)
らえば、お
前
(
めぇ
)
・・・
死
(
し
)
ぬぜ・・・。」
「バカ
言
(
い
)
うんじゃないわよ・・・、マーシャに
限
(
かぎ
)
って、
・・・
私
(
わたし
)
を
攻撃
(
こうげき
)
するとでも
思
(
おも
)
ってんの?」
「けっ、・・・じゃ、
勝手
(
かって
)
に
死
(
し
)
んじまえ。」
「
死
(
し
)
んだりしたら・・・マーシャにどうわびればいいってのよ!!!
私
(
わたし
)
は、・・・そんなこと
出来
(
でき
)
ないのよ!!・・・・
覚悟
(
かくご
)
するのね!!!
クロス・・・ブレイカー!!!!」
「!!!!」
私
(
わたし
)
にも、この
後
(
あと
)
何
(
なに
)
が
起
(
お
)
こったか、
何
(
なに
)
も
分
(
わ
)
からなかったわ。
間違
(
まちが
)
いなく、
私
(
わたし
)
のクロスブレイカーはあたったし、フラッシュリングも・・・。
ただ、
目
(
め
)
の
前
(
まえ
)
全
(
すべ
)
てがまぶしくて、
何
(
なに
)
も
分
(
わ
)
からなかった・・・。
(41日目早朝)
どれぐらい
長
(
なが
)
い
時間
(
じかん
)
がたったのか、それとも、ほんの
一瞬
(
いっしゅん
)
の
出来事
(
できごと
)
だったのか、
すぐには
分
(
わ
)
からなかったわ。
「・・・
逃
(
に
)
げるんじゃ、・・・ないわよ。」
ザヌレコフ
達
(
たち
)
は、
目
(
め
)
の
前
(
まえ
)
から
消
(
き
)
えていったわ。
全
(
まった
)
く
動
(
うご
)
くことが
出来
(
でき
)
なかった。
私
(
わたし
)
もマーシャも、・・・
他
(
ほか
)
の
誰
(
だれ
)
1人
(
ひとり
)
として・・・。
「また・・・
逃
(
に
)
げた。」
「・・・え?」
しばらくして、
私
(
わたし
)
は
体
(
からだ
)
の
自由
(
じゆう
)
を
取
(
と
)
り
戻
(
もど
)
した。
その
瞬間
(
しゅんかん
)
、
全身
(
ぜんしん
)
に
猛烈
(
もうれつ
)
な
痛
(
いた
)
みが
襲
(
おそ
)
い
掛
(
か
)
かってきたわ・・・。
「シーナさん!!キュア!!!」
「・・・ありがと。」
しばらく、キュアの
青
(
あお
)
い
光
(
ひかり
)
の
中
(
なか
)
でぼんやりして、それからすぐに
気付
(
きづ
)
いたわ。
「ちょっと
待
(
ま
)
って・・・、
逃
(
に
)
げたわよね?」
「は、はい・・・。でも、
雫
(
しずく
)
の
結晶
(
けっしょう
)
はありますよ?
どうして、そんなに
驚
(
おどろ
)
いているんですか?」
「ほ、
報酬
(
ほうしゅう
)
が
出
(
で
)
ない・・・
出
(
で
)
ないじゃないのよ!!!」
「・・・。」
「ぼうっとしてる
場合
(
ばあい
)
じゃないわ!!
追
(
お
)
いかけるのよ!!」
「
無理
(
むり
)
ですよ・・そんなの。」
動
(
うご
)
きたくても、
一歩
(
いっぽ
)
も
動
(
うご
)
けなかったわ。
「あれ・・・あんたたち、・・・
逃
(
に
)
げてった
奴
(
やつ
)
らじゃない?」
「ここは・・・
俺達
(
おれたち
)
の
場所
(
ばしょ
)
です。
俺達
(
おれたち
)
が
逃
(
に
)
げてどうするんすか?」
「いいのよそんなこと!!
早
(
はや
)
くおいかけて!!
今
(
いま
)
なら
間
(
ま
)
に
合
(
あ
)
う!!」
「シーナさん?・・・ザヌレコフさんたちが
出
(
で
)
て
行
(
い
)
ったのは、もうだいぶ
前
(
まえ
)
です。」
「・・・え?」
「もうすぐ、
朝
(
あさ
)
になるわ。」
そこには、あのアーチェリーをもった
女
(
おんな
)
が
座
(
すわ
)
っていたわ。
「あ・・・
朝
(
あさ
)
?」
私
(
わたし
)
とシーナさんは
宿
(
やど
)
のベッドに
座
(
すわ
)
っていました。
「・・・
私
(
わたし
)
は、シオン。あなたたちのおかげで、ここを
守
(
まも
)
れたわ。ありがとうね。」
「いえ、シオンさんがいなければ、
私達
(
わたしたち
)
はきっと
戦
(
たたか
)
えませんでした。」
「それよりも・・・、
私
(
わたし
)
にも
教
(
おし
)
えてくれない?」
「・・・これのことですか?」
私
(
わたし
)
は、シオンさんに
幻
(
まぼろし
)
の
雫
(
しずく
)
の
結晶
(
けっしょう
)
を
見
(
み
)
せました。
「ザヌレコフは、・・・これを
狙
(
ねら
)
っていたの?」
「はい。」
「そういえば・・・
最後
(
さいご
)
の
一
(
ひと
)
つ・・・とか
言
(
い
)
ってたわね。」
「・・・どういうことなのでしょうか?」
「
他
(
ほか
)
にもある・・・ってことじゃないの?」
「もしそうなら、ザヌレコフは、
残
(
のこ
)
りのありかは
全
(
すべ
)
て
知
(
し
)
ってる・・・ってことね?」
「・・・
残
(
のこ
)
り?」
「でも、あの
調子
(
ちょうし
)
じゃあ、きっとまた
来
(
く
)
るわよ。
もし、
残
(
のこ
)
りのありかを
全
(
すべ
)
て
知
(
し
)
っているなら、なおさら・・・。」
「それでも・・・
私
(
わたし
)
は、・・・
守
(
まも
)
らないと・・。
・・・セリューク
様
(
さま
)
にも・・・そう
言
(
い
)
われたから。」
「・・・セリューク・・・?」
シオンさんがセリューク
様
(
さま
)
の
名前
(
なまえ
)
に
反応
(
はんのう
)
されました。
「ご
存知
(
ぞんじ
)
なのですか?」
「どうして、その
名前
(
なまえ
)
を・・・?」
「どうしてって・・・わ、
私
(
わたし
)
が、ロッジディーノで
会
(
あ
)
ったから・・・。」
しばらくの
間
(
あいだ
)
、シオンさんは
何
(
なに
)
か、
遠
(
とお
)
い
昔
(
むかし
)
のことを
思
(
おも
)
い
出
(
だ
)
しているようでした。
「―――そう。そうなのね?」
「はい?」
「マーシャ・・・よね?あなたのお
名前
(
なまえ
)
は。」
「はい。」
「こちらへ
来
(
き
)
て・・・。」
私
(
わたし
)
とマーシャはシオンに、ある
銅像
(
どうぞう
)
の
前
(
まえ
)
まで
連
(
つ
)
れられてきた。
「この
人
(
ひと
)
、ティルシスっていうの・・・。
でも、ティルシスって
人
(
ひと
)
の
名前
(
なまえ
)
は
知
(
し
)
らないわね?マーシャ。」
「ど、どうして・・・わかるのですか?」
「あなたが
会
(
あ
)
えるはずがないもの・・・。」
「それって・・・。」
シオンは
急
(
きゅう
)
にさびしそうな
表情
(
かお
)
をしたわ。それ
以上
(
いじょう
)
言
(
い
)
うのを
私
(
わたし
)
はやめた。
「・・・いつ
頃
(
ごろ
)
なのですか?」
「マーシャ!!」
「そうね、10
年
(
ねん
)
前
(
まえ
)
よ。」
「10
年
(
ねん
)
前
(
まえ
)
・・・。」
「バトルマスターって
聞
(
き
)
いたことある?」
「どんな
武器
(
ぶき
)
でも
使
(
つか
)
いこなせるって
奴
(
やつ
)
でしょ?・・・そのティルシスのことなの?」
「そう。この
銅像
(
どうぞう
)
も、バトルマスターだった
彼
(
かれ
)
を
称
(
たた
)
えて
作
(
つく
)
られたわ。
大魔導師
(
だいまどうし
)
セリュークとともに
伝説
(
でんせつ
)
になっているわ・・・。」
「・・・ティルシスさんも、ここで
修行
(
しゅぎょう
)
していたのですか?」
「そうよ。―――
彼
(
かれ
)
は、
風
(
かぜ
)
のようにここに
現
(
あらわ
)
れ、・・・
幻
(
まぼろし
)
のように
消
(
き
)
えてしまったわ。
本当
(
ほんとう
)
に、
短
(
みじか
)
い
間
(
あいだ
)
だった・・・。」
シオンは
遠
(
とお
)
い
昔
(
むかし
)
を
思
(
おも
)
い
出
(
だ
)
しているみたいに
幸
(
しあわ
)
せそうな
顔
(
かお
)
になったあと、
すぐにもとの
沈
(
しず
)
んだ
表情
(
かお
)
に
戻
(
もど
)
ってた。
「こんな
話
(
はなし
)
、したって
仕方
(
しょう
)
がないわね。そうだ、
あなたたちもここで
修行
(
しゅぎょう
)
してみない?」
「へ?」
「わ、
私達
(
わたしたち
)
ですか?」
「あの
大盗賊
(
ザヌレコフ
)
とあそこまで
戦
(
たたか
)
えるなんて・・・、きっともっと
強
(
つよ
)
くなるわ!!」
「あ、あの・・・わ、
私達
(
わたしたち
)
・・・。」
「ごめん、
興味
(
きょうみ
)
ないわ、
私
(
わたし
)
。」
「シーナさん!!そんな
言
(
い
)
い
方
(
かた
)
!!」
「
何
(
なに
)
よ?じゃあ、マーシャだけここに
残
(
のこ
)
るの?それなら、いいのよ。」
「そ、それは・・・。」
「
今
(
いま
)
は、
何
(
なに
)
か
目的
(
もくてき
)
があるの?」
「はい・・・。」
「そう・・・。
残念
(
ざんねん
)
ね。」
「どうする?まだ
休
(
やす
)
んでくの?」
「いいえ!!もう、いけます!!シーナさんは
大丈夫
(
だいじょうぶ
)
ですか?」
「
大丈夫
(
だいじょうぶ
)
じゃなきゃ
聞
(
き
)
かないわ。」
「それじゃあ、あなたたちもがんばってね。」
「はい!!」
(41日目 朝)
修行
(
しゅぎょう
)
施設
(
しせつ
)
から
出
(
で
)
て、
私達
(
わたしたち
)
は
一気
(
いっき
)
にディメナの
方
(
ほう
)
にトンネルを
下
(
くだ
)
っていったわ。
「マーシャ!!
走
(
はし
)
るのよ!!ここらへんのモンスターなんか
相手
(
あいて
)
にせずに!!」
「わ、わかっています!!」
そうは
言
(
い
)
ってみたけど、
相当
(
そうとう
)
周
(
まわ
)
りの
連中
(
れんちゅう
)
はうっとうしかった。
いちいちちょっかいかけてきては、ぶった
斬
(
ぎ
)
られてるけど、キリがなかった。
「ここさえ・・・、ここさえ
越
(
こ
)
えれば、ディメナなんかすぐそこなんだから!!」
私
(
わたし
)
はそこで、マーシャの
姿
(
すがた
)
が
急
(
きゅう
)
に
消
(
き
)
えたのに
気付
(
きづ
)
いた!!
「マーシャ!!」
「・・・シーナさ・・ん。
私
(
わたし
)
は、・・
大丈夫
(
だいじょうぶ
)
です・・・。」
辺
(
あた
)
りに
猛烈
(
もうれつ
)
な
風
(
かぜ
)
が
巻
(
ま
)
き
起
(
お
)
こっていることに
気付
(
きづ
)
いたわ。マーシャは
直撃
(
ちょくげき
)
を
受
(
う
)
けてた。
「どうしても・・・
邪魔
(
じゃま
)
したいってのね。・・・アンタ、たしか、
なんとかドルイドとか
言
(
い
)
う
奴
(
やつ
)
よね。いいじゃない、ぶっ
倒
(
たお
)
したげるわよ!!」
私
(
わたし
)
は、
一気
(
いっき
)
にそいつに
近
(
ちか
)
づいて、ナイフで
斬
(
き
)
り
裂
(
さ
)
いてやろうとしたわ。
「!!!」
「シーナさん!!!」
私
(
わたし
)
には、
今
(
いま
)
、
何
(
なに
)
がシーナさんに
起
(
お
)
こったのか、
分
(
わ
)
かりませんでした。
そのモンスターがシーナさんに、
右手
(
みぎて
)
を
伸
(
の
)
ばした
瞬間
(
しゅんかん
)
に、シーナさんが、
まるで
何
(
なに
)
かに
床
(
ゆか
)
へ
押
(
お
)
し
付
(
つ
)
けられたかのように、すわりこんでしまいました!!
「くっ・・・、つ、
潰
(
つぶ
)
され・・・る!!」
モンスターの
横
(
よこ
)
から、クリートが
冷
(
つめ
)
たい
風
(
かぜ
)
を
吹
(
ふ
)
き
出
(
だ
)
し、その
魔法
(
まほう
)
がおさまったすぐ
後
(
あと
)
、
シーナさんが
立
(
た
)
ち
上
(
あ
)
がって、モンスターに
走
(
はし
)
り
寄
(
よ
)
っていきました!!
「あんた、・・・
地獄
(
じごく
)
に
落
(
お
)
ちな!!」
モンスターはそのシーナさんのナイフをかわし、そのあと
私
(
わたし
)
の
方
(
ほう
)
に
向
(
む
)
かって
炎
(
ほのお
)
の
魔法
(
まほう
)
を
唱
(
とな
)
えてきました!!
私
(
わたし
)
は、すぐにマジックシールドを
唱
(
とな
)
えました。
周
(
まわ
)
りを
炎
(
ほのお
)
に
取
(
と
)
り
囲
(
かこ
)
まれるのを
見
(
み
)
ましたが、なんとか
耐
(
た
)
え
切
(
き
)
りました。
「・・・わ、
私
(
わたし
)
から
逃
(
に
)
げんじゃないのよ!!
大人
(
おとな
)
しくやられちゃうのよ!!!」
そのモンスターの
攻撃
(
こうげき
)
が
急
(
きゅう
)
に
終
(
お
)
わったことに
気付
(
きづ
)
きました。
今
(
いま
)
まで、
私達
(
わたしたち
)
を
襲
(
おそ
)
ってきていたモンスターも、まるで
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
してしまったかのように、
出
(
で
)
てこなくなってしまいました。
「ちょ、ちょっと!!ホントに
逃
(
に
)
げんじゃないわ・・・・ん?」
私
(
わたし
)
は、そいつの
猛烈
(
もうれつ
)
な
殺気
(
さっき
)
に
気付
(
きづ
)
いた。
自然
(
しぜん
)
とナイフを
両手
(
りょうて
)
に
握
(
にぎ
)
り
締
(
し
)
めて、
そいつに
向
(
む
)
かってにらみつけてた。
「・・・
出
(
で
)
たわねぇ、ここらへんじゃ、アンタ、
有名
(
ゆうめい
)
よ。
ガーディアンナイト・・・だったかしらね。ここらへんのザコ、ビビラすなんてね。」
「シーナさん。」
「あんたは、
引
(
ひ
)
っ
込
(
こ
)
んでて。ここは、
私
(
わたし
)
に
任
(
まか
)
せることね。」
ガーディアンナイトの
野郎
(
やろう
)
は、モンスターズハンター
事務所
(
じむしょ
)
で
見
(
み
)
る
限
(
かぎ
)
りじゃ、
ここらで、
一番
(
いちばん
)
歯
(
は
)
ごたえのある
野郎
(
やろう
)
だって
話
(
はなし
)
だった。
ただ、もともとここにいた
奴
(
やつ
)
じゃなくて、どっか
別
(
べつ
)
のとこから
来
(
き
)
たらしかったけど、
そんなこと、
私
(
わたし
)
にはどうでもよかった。
「どくの?それとも、
斬
(
き
)
られるの?」
ガーディアンナイトの
奴
(
やつ
)
が、
私
(
わたし
)
に
向
(
む
)
かって
攻撃
(
こうげき
)
を
仕掛
(
しか
)
けてきたわ。
「いきなりだけど、
早速
(
さっそく
)
、
決
(
き
)
めさせてもらおうかしらね。クロス・・・ブレイカー!!」
確
(
たし
)
かに
手
(
て
)
ごたえはあったわ・・・。でも、
一瞬
(
いっしゅん
)
で
状況
(
じょうきょう
)
を
判断
(
はんだん
)
して、
私
(
わたし
)
は、すぐに
背後
(
はいご
)
へさけた。
「ナ・・ナイフが
効
(
き
)
かないわ!!」
ガーディアンナイトは
持
(
も
)
ってるソードで、
私
(
わたし
)
に
激
(
はげ
)
しく
斬
(
き
)
り
付
(
つ
)
けてきた!!
「くっ・・・、
結構
(
けっこう
)
、キツいわ・・。」
なんとか、2
本
(
ほん
)
のナイフでこいつの
攻撃
(
こうげき
)
を
受
(
う
)
け
続
(
つづ
)
けてたけど、
その
度
(
たび
)
に、メチャクチャな
力
(
ちから
)
で
背後
(
うしろ
)
に
押
(
お
)
しやられてた。
「シーナさん!!!」
「ぐっ・・・、あああ・・・。」
ちょっと
油断
(
ゆだん
)
した
瞬間
(
しゅんかん
)
に、
奴
(
やつ
)
に
肩
(
かた
)
をかすめられた。
かすめただけにしては、ひどく
出血
(
しゅっけつ
)
してた・・・。
「・・・この
調子
(
ちょうし
)
じゃ、ヤバいわね。」
そのすぐ次の
瞬間
(
しゅんかん
)
、とうとう
奴
(
やつ
)
は、
全力
(
ぜんりょく
)
をこめて
私
(
わたし
)
を
斬
(
き
)
り
裂
(
さ
)
いてきやがった!!
「!!!」
シーナさんの
姿
(
すがた
)
は、
突然
(
とつぜん
)
消
(
き
)
えてしまいました。
「スピードじゃ、・・・こっちが
上
(
うえ
)
ね。」
そのモンスターの
動
(
うご
)
きが
一瞬
(
いっしゅん
)
止
(
と
)
まってしまった
後
(
あと
)
、
背後
(
はいご
)
からシーナさんが
攻撃
(
こうげき
)
しました。
「そんなんじゃ、
私
(
わたし
)
にはついてこれないわね。」
シーナさんは、そのモンスターがシーナさんに
振
(
ふ
)
り
返
(
かえ
)
った
瞬間
(
しゅんかん
)
、
そのモンスターの
頭上
(
ずじょう
)
高
(
たか
)
くに
飛
(
と
)
び
上
(
あ
)
がりました!!
「・・・
決
(
き
)
めるわよ!!」
シーナさんは、ナイフをそのモンスターの
頭上
(
ずじょう
)
から
突
(
つ
)
き
刺
(
さ
)
しました!!
「―――ダメね。」
そのまま
落下
(
らっか
)
していくシーナさんに、モンスターの
持
(
も
)
っているソードが
直撃
(
ちょくげき
)
しました。
「・・・。」
シーナさんが
地面
(
じめん
)
に
落
(
お
)
ちる
音
(
おと
)
を
聞
(
き
)
くのと
一緒
(
いっしょ
)
に、
信
(
しん
)
じられない
光景
(
こうけい
)
を
目
(
め
)
にしました。
今
(
いま
)
まで、
圧倒的
(
あっとうてき
)
に
強
(
つよ
)
かったモンスターが、まるで
何
(
なに
)
かに
吹
(
ふ
)
き
飛
(
と
)
ばされたかのように、
壁
(
かべ
)
に
激突
(
げきとつ
)
していたのです!!
「な、
何
(
なに
)
が・・・?!」
「ここは、グラニソウル
全土
(
ぜんど
)
の
人間
(
にんげん
)
のためのトンネルだ・・・、
暴
(
あば
)
れるなら、この
俺
(
おれ
)
らが
相手
(
あいて
)
になってやらぁ・・・。」
そいつは、
圧倒的
(
あっとうてき
)
な
強
(
つよ
)
さでそいつをぶった
斬
(
ぎ
)
ってた。
周
(
まわ
)
りにも
何人
(
なんにん
)
かいたけど、そいつ1
人
(
り
)
で
十分
(
じゅうぶん
)
だったわ・・・。
「
元
(
もと
)
の
姿
(
すがた
)
に
還
(
かえ
)
りやがれ!!」
そいつの
最後
(
さいご
)
の
攻撃
(
こうげき
)
で、モンスターは
完全
(
かんぜん
)
に
動
(
うご
)
かなくなった・・・。
「・・・ハデにやられてたみてぇだけど、
大丈夫
(
だいじょうぶ
)
だったか?」
「ふん、・・・うるさいわね。
余計
(
よけい
)
なお
世話
(
せわ
)
よ!!ま、・・・そ、その、ありがと。」
「あ、あの・・・あ、あなた
方
(
がた
)
は?」
「マーシャ、・・
見
(
み
)
て
分
(
わ
)
かるでしょうが?・・・
上
(
うえ
)
の
連中
(
れんちゅう
)
よ。」
「まぁ、そうなんだけどな。」
「あんたらがいない
間
(
あいだ
)
、
上
(
うえ
)
じゃ、
大変
(
たいへん
)
だったのよ・・、
何
(
なに
)
、
遊
(
あそ
)
んでたわけ?」
「それじゃあ、ここでも、
何
(
なに
)
かあったのか?」
「はぁ?アンタら、ザヌレコフのバカが
大暴
(
おおあば
)
れしてたってのに?!」
「・・・くっ、やはり、・・・
足止
(
あしど
)
めか・・・。」
「
奴等
(
やつら
)
は?どこだ?!」
「もういないわよ、
逃
(
に
)
げてったわ。―――
足止
(
あしど
)
め、って
言
(
い
)
ったわね。」
「ああ・・・、アサラの
部隊
(
ぶたい
)
が、ディメナ
周辺
(
しゅうへん
)
で
大騒動
(
おおそうどう
)
を
起
(
お
)
こしやがってよ。」
「
荒
(
あ
)
らすだけ
荒
(
あ
)
らしやがってったが、
そいつは
単
(
たん
)
なる
足止
(
あしど
)
めのためだったのかよ・・・。」
「とにかく、
上
(
うえ
)
に
早
(
はや
)
いとこ
戻
(
もど
)
ろう。」
「あんたらも、まぁ、
気
(
き
)
をつけな。」
「ふん、そうするわよ。」
2003/05/02 edited by yukki-ts To Be Continued. next to
No.13