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eine Erinnerung aus fernen Tagen ~遠き日の記憶~
悲劇の少女―第1幕― プロローグ
十年前の事だった。この世界の南方の大陸に突如、空前の大災害が襲った。大陸を破壊し尽くし、国家を壊滅させ、人も動物も植物も、ありとあらゆるものを、地上から消し去った。
その惨状はとても、この世のものとは思えぬものだった。大災害の影響からか、西方海域と呼ばれる巨大な海域で発生した、猛烈な海流は、航路を寸断し、大陸をも引き裂いた。大陸は以後、いかなるものをも遠ざける「死の大陸」と呼ばれた。近隣の大陸も、ほぼ壊滅的なダメージを受け、国は荒れ果てた。
生き残った人々は、この惨劇を、「悲劇」と、言いようのない、悲しみと痛み、怒りを込めて呼んだ。
人々の間では、この「悲劇」にまつわる、様々な噂が飛び交った。その中で、人々が怒りを向ける対象として、この「悲劇」に密接な関わりをもった者の噂が広まった。
その者の名を人々は、「悲劇の少女」と呼んだ。その噂は、混乱に満ちたその大陸で一瞬の間に広まるものの、その者を見たという者は、誰一人として存在しなかった。
時は流れ、次第に心の傷も癒え、元の街並みを取り戻し、人々の記憶から、「悲劇」の惨状は忘れ去られようとしていた。
そして、今。世界の西方の小大陸、スフィーガル。その地で、人知れず、運命の歯車が再び、ゆっくりと回り始めようとしていた。
2008/12/05 edited ('01/09/22 written) by yukki-ts next to
No.1